1800年代初頭に北米で生まれたツーバイフォー住宅は、より安全で快適な住まいへと進化しながら普及してきました。現在では、米国、カナダでは木造住宅の90%以上がツーバイフォー工法だといわれます。
200年も前に生まれ育ったこの住宅はさらに海を越え、明治時代の日本にやってきました。あの札幌の時計台もそのとき建てられたものです。そして、ヨーロッパ、オーストラリア、ニュージーランド…北米以外でも高くツーバイフォー住宅は高く評価され、いまや住宅のグローバルスタンダードとなっています。
昭和49年(1974年)に枠組壁工法の技術基準が告示され、一般工法としてオープン化されてから、平成26年(2014年)で40年を迎えました。この間、さまざまな研究・開発・実験を実施し、その成果に基づいて、国の技術基準が改正され、ツーバイフォー工法で建てられる建物の階数、規模、用途、地域が拡がるという進展をもたらしました。
結果、2015年度で新設住宅で累計着工250万戸を超え飛躍的な拡大を遂げています。
「ツーバイフォー工法」は、「軸組工法」とはまったく異なる考え方です。
最も大きな違いは、建物の支え方です。
軸組工法では「柱」や「梁」で建物を支えるのに対し、ツーバイフォー工法では構造用製材でつくった枠組みに構造用合板を貼り付けた「パネル」で床・壁・屋根を構成して建物を支えます。つまり軸組工法は「線」で、ツーバイフォー工法は「面」で、建物を支えているわけです。
一方、ツーバイフォー工法は床・壁・屋根が初めから面としてつくられ、その面で箱(六面体)をつくるように家をカタチづくります。
気密性や断熱性、シンプルで合理的な施工など、ツーバイフォー住宅が備えている優れた特長は、すべてこの「面構造」が基本となって実現されています。
ツーバイフォー工法では、主に6種類の規格化された枠組壁工法構造用製材を使用します。それぞれの部材は、日本農林(JAS)規格によって厳しく品質がチェックされ、使用する箇所ごとに製材品の種別なども定められています。
また、国土交通大臣が認定した海外の規格材も利用可です。
最近では、北米で開発された木質複合軸材料のひとつである木質I型ビームや木質断熱複合パネルなども利用されています。
「面構造」を基本にしたツーバイフォー住宅は、6面体ができあがると、家全体が強いモノコック構造(一体構造)となります。モノコック構造はもともと、極限の強度が求められる航空機用に開発されたもの。スペースシャトル、新幹線、F1レーシングカーにも採用されているほど、きわめて強固な構造です。モノコック構造のツーバイフォー住宅は、地震や台風などの力を建物全体で受け止め、荷重を一点に集中させることなく全体に分散してしまうので、外力に対して抜群の強さを発揮します。
ツーバイフォー工法は、構造材やくぎ・金物のサイズ・使用方法・使用箇所から施工の手順まできめ細かく規定され、枠組壁工法住宅工事仕様書(監修:住宅金融支援機構)などでマニュアル化されているため、施工者の技量に左右されることなく、どの住宅にも均一な品質と性能を実現します。
高度にシステム化されたツーバイフォー工法では、4種類の専用クギを使用。
1本ずつ色分けされ、打ち込んだ後でも検査が容易です。クギはメッキ処理されているため、さびを防ぎ建物の耐久性を高めます。
「軸組工法」と「ツーバイフォー工法」の違いは、簡単に言うと「骨(柱)」で支えるか、「体幹(建物全体)」で支えるかの違い。同じ木造でも根本的に工法が異なり、地震や台風などの災害時に力の受け止め方が違います。柱や梁で支える軸組では、決まった場所に力が集中。2×4工法は床・壁・屋根が一体(モノコック構造)となるため建物全体が均一して強く、抜群の強さを発揮します。床・壁・屋根で面を構成して、建物を支え、地震などの大きな力を建物全体で受け止めます。どの方向から荷重がかかっても一点に集中させず、瞬時に面全体に分散します。
(一社)日本ツーバイフォー建築協会の調査によると、震度7の阪神淡路大震災(1995年)、新潟県中越地震(2004年)では、ツーバイフォー住宅は97%がとくに補修の必要がないと報告されています。さらに、東日本大震災(2011年)では、津波の被害に遭わなかった対象住宅の内、当面補修の必要がないものが98%も占めました。
ツーバイフォー住宅の場合、火の通り道となる床や壁の内側において、枠組材などがファイヤーストップ材となって空気の流れを遮断し、上階へ火が燃え広がるのをくい止めます。また床根太、枠組材などが一定間隔で組まれている床や壁の内部構造は、防火区画がいくつもつくられているのと同じ状態です。この一つひとつの区画によって火の進行はさらに遅くなります。火災時に防火被覆(せっこうボード)が万一突破されても、このように2重3重の防火機能をもつ「ファイヤーストップ構造」によって、ツーバイフォー住宅は初期消火の可能性が高く、火災時の被害を最小限に抑えます。
ツーバイフォーでは、すべての天井や壁の内側全面に、厚さ12.5mm以上の石こうボードが貼られます。石こうボードの中には約21%の結晶水が含まれていて、炎があたると熱分解を起こして約20分もの間、水蒸気を放出するという優れた特性を発揮します。このため火災が発生しても、天井裏や壁の内部の温度が上昇しにくく、構造材が発火点(約450℃)に達するまでの時間を大きく遅らせることができます。 また床・壁の内部に埋め込まれる断熱材も、火災時の熱が構造材に伝わりにくくし、石こうボードとともに木材の発火を遅らせます。これによりツーバイフォー住宅の耐火性は、さらに高くなっています。
ツーバイフォー住宅の屋根(軒下)は、強風に対して優れた強度を備えています。台風以上に強烈なハリケーンが襲う北米で生まれただけに、強風に備える独自のアイデアが採用されているのです。その一つが「ハリケーンタイ」と呼ばれる、あおり止め金具です。この金物の1個当たりの許容耐力は、じつに2.303Nもあります(風速70mの時に金物1個当たりにかかる力は1.666N)。ハリケーンタイは屋根のたる木と外壁をがっちりと連結し、強風にあおられても屋根が吹き飛ばされないようにします。
ツーバイフォー住宅では、ほとんどの構造用製材に含水率19%以下の日本農林規格に基づく乾燥材を使用。さらに、さまざまな方法によって万全の湿気対策を行います。湿気や結露への徹底した対策によって、ツーバイフォー住宅は耐久性を確保。永く暮らせる丈夫な住まいを実現します。
ツーバイフォー工法では、当初から太め鉄丸くぎ(CN釘)を枠材相互及び枠材と面材との緊結のために使用しています。平成19年6月より亜鉛めっき処理された太め鉄丸くぎ(CNZ釘)の使用が認められ、耐久性の向上に役立っています。また、通常、使用する「Cマーク表示金物」はそのすべてに亜鉛めっきが施されており、防錆効果を高めています。
結露は室内外の温度差や、温度の急激な変化などによって起こります。とくに壁の内部や小屋裏で発生しやすい結露は、木材の腐朽の原因となるだけでなく、カビの繁殖など、住まいにさまざまな悪影響をおよぼします。ツーバイフォー住宅は壁内に断熱材が充填されているため、室外と室内の温度差がゆるやかに緩和され、結露が発生しにくい構造となっています。また、小屋裏には軒裏換気、妻換気等を設けるなどして有効な換気方式を採用しています。また、一般的に断熱材の外側(外壁仕上げの内側)に通気層を設け、万一の漏水時の排水のためにも役立っており、耐久性を高めることとなっています。
湿気対策 | 住まいの耐久性において、床下の防湿対策は最重要事項。当社ではオリジナルべた基礎の下に防湿シートを使用し、さらに基礎と土台の間に土台下パッキンを挟み込み、通気性を高めています。 |
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防水性の高い 素材を使用 | 屋根からの雨水の侵入を防止するポイントは、くぎ穴貫通(カラーベストくぎ貫通)の防水性。この部分に最も信頼性のある素材、非透湿高分子系下葺材を使用し、防水性を高めています。 |
防腐・防蟻処理もしっかり | 基礎コンクリート下部に防蟻・防湿シートを全面に敷き詰めるターミダンシート工法を採用することで、シロアリの侵入を防ぎ、万が一の侵入の際には最大1,000万円(10年)までの保証を受けられます。(詳しくはこちら >>) 土台には全面超噴射処理装置による低圧噴射処理。乾燥材の特性と防腐・防蟻性能を併せ持ちます。さらに1階床組みおよび1階床立ち上がり部分の構造用合板や、外部の地面から高さ1m以内の主要な木材に防腐・防蟻材を塗布します。 |
”雨漏りは屋根から”と思いがちですが、実は住宅の雨漏り事故は壁面からの漏水に起因することが多いと言われています。外壁施工時に雨仕舞の重要ポイントに”先張り防水シート”を施工することで、外壁の漏水の侵入から躯体を守ります。また、柱と窓台の入隅に生じるすき間は、”ゴム系粘着防水テープ”等を用いて止水を行います。
経済性はもちろん、地球温暖化防止のために最近の住宅でますます重視されているのが省エネルギー性です。
断熱性や気密性に優れ、より少ないネルギーで快適な居住性を実現する“冷暖房効率の高い住まい”が求められています。面構造のツーバイフォー住宅は、構造自体が優れた断熱性・気密性を持ち、さらにそれらを高める技術が投入されている“省エネルギー住宅”です。
水や空気など自然の資源と太陽光エネルギーをもとに森林で育まれた木材は、適切に森林管理をすれば半永久的に再生産できる資源です。また、一度利用された木材から新たな製品を作ることができるため、木材はリサイクル利用も可能。使用後の廃材をエネルギーとして活用すれば、化石燃料の消費を抑制することにもつながります。さらに、森の木はCO2を吸収して酸素を排出し、炭素として貯蔵し、製材後も炭素をストックし続けます。つまり、木材を使ったツーバイフォー住宅を建てて暮らすことは、ささやかながらCO2削減に寄与することになります。
当社のツーバイフォー工法は安全性のみならず、高いデザイン力でお客様のご希望にお応えしています。長い実績を誇る当社の技術と信頼の証です。
当社のツーバイフォー工法の安全性が認められ、防火地域内に木造耐火建築物による病院内託児所を建築。
施主である病院の敷地内に付属の託児所として建築されるため様々な制約を受けますが、院長(理事長)の「子供のためには木造が一番」との強い要望により、防火地域内でありながら木造による建築が病院内で検討されました。
これは北九州市で初、全国的にも珍しい事例として注目を集めました。この他、アーケード付き商店街の防火地域内に、木造の事務所兼店舗併用住宅を建築した実績もあります。
ツーバイフォーは構造上のルールが明確です。そのため、どの壁を取り外せるかすぐにわかり、安全なリフォームが可能。 ライフステージに合わせて間取り変更・増改築を行えば、2世代、3世代先までの快適な暮らしが叶います。